歯茎が溶ける?

普段はあまりテレビを見る時間がないのですが、連休でいつもは見ない時間にテレビを見る機会がありました。
そこで驚いたのが、CMのイメージ動画です。
赤いゼリーの中に植わった歯が、ゼリーが溶けるとともにどんどん傾いていきます。
だから歯茎を鍛えましょう、というメッセージのようです。
何十年という時間をかけた歯周病の進行を数秒の動画にすればこんなイメージになるのかもしれません。

こういった恐怖を煽るイメージは、口腔内に全く関心のない方には効果がある可能性はありますが、真面目で心配性な方にとっては逆にマイナスになることが少なくありません。歯茎を極端に磨いてしまい、むしろ悪化してしまう方を見るととても残念な気持ちになります。

歯茎は溶けません。

歯茎が腫れるのは、あくまで歯に付着したばい菌が原因です。歯茎は非常に活性の高い、治りやすい組織で、傷があっても6日ほどで治ってしまいます。悪い歯があると周囲の歯肉は腫れますが、それはそこについたばい菌から生体を守っているのであって、原因がなくなると歯茎はすぐに治ります。

ブラッシングで歯茎との境目までのばい菌をとればよいのであって、必要以上に歯茎を痛めつける必要はありません。

CMの効果により、歯周病という言葉が市民権を得たり、プラークコントロールという言葉が知られるようになったり、良いこともたくさんあります。ネットでも多くの情報を得ることができます。一方で情報過多は他の問題も生んでいて、その真偽はしっかりと見極める必要があります。
インパクトの強い言葉、情報には踊らされすぎないようにしたいですね。

(写真は今回の内容とは関係ありません。。先日見た火縄銃の実演です)