保険関係での今年の話題といえば、再生療法がはじめて健康保険で適応されたことでしょう。
昨年12月に大学病院で使われはじめ、4月に入って個人医院でも使用が可能になりました。
歯周病治療の流れといえば、まずは診査診断、その後に歯周基本治療と言われる歯ブラシ指導やSRP(歯石取り)を行い、その後に再評価(診査)を行って、歯周基本治療で治らなかった部位に歯周外科(歯ぐきを開いて、直接見ながら歯石を取る外科処置)を行うというものです。
当院ではできるだけ歯周基本治療での治癒を目指して、そこに時間をかけますので、最近では歯周外科まで行くケースはそれほど多くはありません。
再生療法は現時点では決して魔法の方法ではありません。
どんな人でも、どんな部位でも、やれば必ず効果が出るというわけではありません。
例えば、喫煙者、歯ブラシの状態が良くない方 は再生療法を行ってもも効果が出る可能性は極めて低いので、行いません。
骨の減り方、残り方も重要な要素になります。
それらを考慮して、あくまで効果が認められる可能性がある方にのみ行います。
今回のリグロスは、FGF-2という血管増殖因子が主成分で、 これは医科の分野では創傷治癒の治療薬として2000年頃よりすでに使われていたそうです。色々な研究から 歯周組織の再生にも効果があるということがわかったもののなかなか認可が下りず、以前から話題にはなっていましたが、ここにきてようやく認可が下りました。
再生療法といえば、今まではエムドゲインというブタの歯胚由来の材料がメインでしたが、自費診療でした。
今回のリグロスは保険適応だというのが特筆すべきところではあります。
長くなりそうなので、続きは次回にしたいと思います。
今回は概要と良い点ばかりをまとめました。
しかし、実際には懸念されることなどあります。そのあたりの注意点を次回はまとめたいと思います。